<142>東京都美術館で開催中の「ミロ展」と万博

1937 Paris
ジュアン・ミロ『スペインを救え』 バルセロナ・ミロ財団にて複製画を撮影

東京都美術館で開催中の「ミロ展」

2025年3月1日から7月6日まで、東京・上野の東京都美術館「ミロ展」が開催されている。

東京都美術館「ミロ展」のサイン
photo©️Kyushima Nobuaki

東京都美術館「ミロ展」のサイン
photo©️Kyushima Nobuaki

主催には「ジュアン・ミロ財団」が入っている。

ジュアン・ミロ財団はミロが生まれたスペイン・カタルーニャ地方の、バルセロナに存在する美術館を運営している。

そこから今回は多くの作品が「来日」している。

筆者は2025年3月上旬にバルセロナのジュアン・ミロ財団の美術館を25年ぶりくらいに訪れたが、あいかわらずのバルセロナの青い空に美術館の建物が綺麗に浮き立って見えた。

バルセロナでは来日していて見れなかった作品も上野で見ることができたわけである。

今回の「ミロ展」ではミロの初期の作品から、お馴染みの「ミロ風」の作品まで、ミロの生涯の包括的な作品群を楽しむことができる。

東京都美術館「ミロ展」展示風景
photo©️Kyushima Nobuaki

東京都美術館「ミロ展」
ジュアン・ミロ『にぎやかな風景』(ジュアン・ミロ財団)

東京都美術館「ミロ展」
ジュアン・ミロ『涙の微笑』(ジュアン・ミロ財団)

東京都美術館「ミロ展」
ジュアン・ミロ『ふたつの惑星に追われる髪』(ジュアン・ミロ財団)

東京都美術館「ミロ展」展示風景
photo©️Kyushima Nobuaki

ミロと万博

ミロと万博のかかわりについては拙著『万博100の物語』(ヨシモトブックス)でもちょっと触れている。

また、この『万博亭日乗Life with Expo)』でも何度かご紹介した。
ご興味のある方は下記をご参照いただきたい。

<9>ミロの陶板壁画『無垢の笑い』

<32>「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」展①

<33>「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」展②

<35>「スペインのイメージ」展(国立西洋美術館)

 <82>アレクサンダー・カルダー展と万博

<110> 『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』を読む

ここに、もう一度、ミロと万博のかかわりの概要をご紹介しよう。

1937年パリ万博とミロ

1937年パリ万博といえば、ピカソがスペイン共和国館のために、またフランコ政権に対する抗議の意味も含めて、『ゲルニカ』を描いたことで有名である。

実はこのとき、ミロも『刈り入れ人』という作品をスペイン共和国館に展示した。

『刈り入れ人』は万博終了後消失してしまった。

また、今回展示されていた『スペインを助けよ』(撮影不可)は同じくフランコ政権に対する抗議という政治的な意味を持つ作品であった。

ジュアン・ミロ『スペインを救え』
バルセロナ・ジュアン・ミロ財団にて複製画を撮影

もともとはフランコ政権に対抗するスペイン共和国を支援する1フラン切手のデザインとして描かれた同作は、結局切手に使われることはなかったが、ポスターとなってパリ万博のスペイン共和国館で発売されることになった。

1970年大阪万博とミロ

そして、もう一つの万博が「1970年大阪万博」である。

このときミロは日本を訪れている。

ミロの初めての訪日は1966年だったが、2回目は1969年、大阪万博のためだった。
大阪万博の「ガス・パビリオン」『無垢の笑い』という陶板壁画を展示するために来日したのである。

ジュアン・ミロ『無垢の笑い』
Joan Miró “Innocent Laughter”

この時にミロが即興でガス・パビリオンの吹き付けのスロープのに描いた壁画は万博終了後解体・破棄されていたとされていたが、一部が大阪ガスに保管されていることがわかっている。

また、1864/65年ニューヨーク万博でもミロ作品は展示されている。

次回からは、ロンドンを離れて、今回の視察で行ったバルセロナについて、いろいろと書いてみることにしたい。

もちろん、訪問したジュアン・ミロ財団についてもご紹介していくつもりである。

2025年大阪・関西万博がオープン

さて、昨日(2025年4月13日)オープンした大阪・関西万博である。
ニュースを見ると、大混雑である。

会場に入るのも、帰るのも長時間の待ち時間が発生している模様である。

くら寿司の待ち時間が8時間とか、アメリカ館が一番人気で4時間待ちとか、いろいろな混雑情報がテレビやネットで流れている。

また、間に合わなかったのは5カ国。
インド、ネパール、チリ、ベトナム、ブルネイの5カ国は4月13日当日には開館できなかった模様である。
まあ、これも事前のいろいろなネガティブな情報を考えると5カ国というのはまあ少ない方、と言えるのではないか。

万博史上でいうと、多くの万博でいくつかのパビリオンは間に合っていない。
そう大騒ぎすることもないだろう。

2025年大阪・関西万博の初日の入場者数は約12万人とのこと。
「愛・地球博」(2005年)の初日入場者(1日あたり最少入場者数でもあった)、4万3,023人に比べると約3倍の大健闘といえる。

オープン直後にはいろいろと課題があるのはいつものことだが、入場者数としてはなかなかいい出だしなのではないだろうか。

課題も「日々改善」でどんどん解決されていくだろう。

ともかく事故がないように閉会を迎えられるように祈るのみである。

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