<104>ナショナルリーグのリーグ優勝決定シリーズとニューヨーク万博

1964/65EXPO
シティ・フィールド Citi Field photo©️Kyushima Nobuaki

始まったナショナルリーグのリーグ優勝決定シリーズ

今年、大谷翔平選手が移籍したロサンゼルス・ドジャースは順当に勝ち上がり、いよいよナショナルリーグのリーグ優勝決定シリーズが始まっている。1勝1敗で迎えた本日(2024年10月17日)の第3戦からは球場を移して、メッツの本拠地で行われる。
これから繰り広げられる熱戦が楽しみである。

ニューヨーク・メッツのホーム球場はニューヨーク市クイーンズ区にある「シティ・フィールド(Citi Field)」である。

シティ・フィールドとトム・シーバーの銅像
Citi Field and Statue of Tom Seaver
photo©️Kyushima Nobuaki

シティ・フィールド
Citi Field
photo©️Kyushima Nobuaki

シティ・フィールドの内部
Inside of Citi Field
photo©️Kyushima Nobuaki

10月17日の第3戦、18日の第4戦、19日の第5戦がこの「シティ・フィールド」で開催されることになっている。

先に4勝したチームがワールドシリーズ進出、ということなので、早ければこの「シティ・フィールド」で決定する可能性もある。

「シティ・フィールド」とニューヨーク万博

この「シティ・フィールド」は2009年に完成した。

じつはこの「シティ・フィールド」は1939/40年ニューヨーク万博1964/65年のニューヨーク万博の会場であった「フラッシング・メドーズ・コロナパーク」の地下鉄7号線の最寄駅「Mets-Willets Point」駅をはさんで北側に存在している。
ちなみに、万博会場跡地である「フラッシング・メドーズ・コロナパーク」はこの駅のすぐ南に大きく広がっている。

Mets-Willets Point駅のプラットフォーム風景
Mets-Willets Point station platform view
©️Kyushima Nobuaki

シティ・フィールド側から見た駅
Station seen from the Citi Field side
photo©️Kyushima Nobuaki

駅を越えるとシティ・フィールドへ出る。
Once you pass the station, you will arrive at Citi Field.
photo©️Kyushima Nobuaki

この「シティ・フィールド」の前身は「シェイ・スタジアム」(Shea Stadium)というもので、1961年に起工し、1964年4月17日に開場している。

まさに1964年ニューヨーク万博が開幕する(1964年4月22日)直前である。
資料によると、この「シェイ・スタジアム」は万博会社によって建設されたわけではないが、万博と施設は密接な関係があり、万博公式ガイドブックにも掲載されていたらしい。

この「シェイ・スタジアム」は2009年に取り壊され、同年、「シティ・フィールド」がオープンすることになり、現在に至っている。

3回行われたニューヨーク万博の跡地

ニューヨークでは3回の万博が開催されている。

最初のものは1853-54年に開催された。
場所はマンハッタン中心部にある今「ブライアント・パーク」と呼ばれている公園である。

ブライアント・パークの標識
Sign of Bryant Park
photo©️Kyushima Nobuaki

ブライアント・パークの様子
Bryant Park
photo©️Kyushima Nobuaki

「ブライアント・パーク」タイムズ・スクエアから歩いてすぐ、5番街と6番街の間、40丁目と42丁目の間にあり、「ニューヨーク公共図書館」に隣接している。
その「ブライアント・パーク」でニューヨーク万博が開催されたときには、十字架の形をして中央に大きなドームのある、ロンドン万博と同じ名前の「クリスタル・パレス」というメイン会場が建てられていた。
この土地は当時、今の「ニューヨーク公共図書館」が建っている場所にあった「クロトン給水所(クロトン・ディストリビューション・レゼボア)」にちなんで「レゼボア・スクエア」と呼ばれていた。
この万博では万博初となるタワー、高さ約107メートルの「ラッティング展望台」が「クリスタル・パレス」に隣接して建てられていた。

そして、1939/40年、1964/65年の2つのニューヨーク万博は、「シティ・フィールド」の「Mets-Willets Point」駅をはさんだ南側の広大な敷地で開催された。

現在は「フラッシング・メドーズ・コロナパーク」と呼ばれていて、グランドやテニスコートもあり、市民の憩いの場になっている。
そして今も、タイムカプセルなど両万博の名残がいくつも残っているのである。

公園内の様子。大変綺麗に整備されている。
A view inside the park. It is very well maintained.
©️Kyushima Nobuaki

タイムカプセルの記念碑
Time Capsule Monument
©️Kyushima Nobuaki

メッツの現球場は昔のドジャース球場のデザインを模したもの

さて、ドジャースはもともとニューヨーク・ブルックリンで「ブルックリン・ドジャース」として誕生した球団である。
しかし、1958年からはロサンゼルスに拠点を移しているので、もう十分にロサンゼルスのチームと呼んでもいいだろう。

しかし、まだニューヨーク・ブルックリンにも「ドジャース」の名残は存在しているようだ。

「ブルックリン・ドジャース」がニューヨーク時代に本拠地とし、ニューヨーク・ブルックリン区にあった「エベッツ・フィールド」の跡地、というのが残っているのである。

その「エベッツ・フィールド」の跡地は、今もブルックリンに存在するその名も「エベッツ・フィールド・アパートメント」という部屋数およそ1300戸のアパートになっている。
そして、その一角には、今も「エベッツ・フィールド」があったときのホームベースの位置に、金属のホームプレートが記念に残されているのである。

そして、今、メッツが拠点としている「シティ・フィールド」であるが、この球場の外観デザインは、かつてブルックリン・ドジャースが本拠地としていた「エベッツ・フィールド」を模したデザインとなっているのである。

エベッツ・フィールド 1913年開場当日の様子
Ebetts Fiels 1913 Opening Day

この「ブルックリン・ドジャース」時代の「エベッツ・フィールド」を模したデザインである「シティ・フィールド」でナショナルリーグ優勝決定シリーズが行われるのもMLBの長い歴史を感じさせる。
そんな球場の歴史、両チームの不思議な縁を思いながら大谷選手の活躍を楽しんでみるのもいいのではないだろうか。

なお、この「シティ・フィールド」近辺の、2つのニューヨーク万博跡地の話は、<53><62> 話あたりに(特に<59>話)、2023年11月に行った現地視察、実地検証の結果も含めて詳しくご紹介している。
また、「エベッツ・フィールド」跡地については<73>でご紹介している。
ご興味のある方はそちらをご覧いただければ幸いである。

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