<109>大谷選手が手にした「コミッショナーズ・トロフィー」

1893 Chicago
『燭台』(ティファニー、メトロポリタン美術館) ”Candlesticks”(ティファニー) photo©️Kyushima Nobuaki

ロサンゼルス・ドジャースがワールドシリーズを制覇

今年2024年のアメリカ・メジャーリーグベースボール(MLB)も10月末にとうとう終了してしまった。

大谷翔平選手が所属するロサンゼルス・ドジャースMLBのワールドシリーズを制覇したのである。

日本時間2024年10月31日、ドジャースはニューヨーク・ヤンキースとの第5戦を制し、4年ぶり8度目のワールドチャンピオンに輝いた。

大谷選手は左肩の亜脱臼もあり、後半あまり活躍できなかったが、ドジャースに移籍して1年目にしてワールドシリーズ制覇という夢を叶えたのはさすがといえよう。

「コミッショナーズ・トロフィー」はティファニーのデザイン

そしてその時にドジャースの選手たちが手にしたのが、独特のデザインのトロフィーだった。

じつは、このトロフィーは、あのティファニーが製作したものだったのである。
このトロフィーは「コミッショナーズ・トロフィー」というもので、2000年以来ティファニーが製作してきたとのこと。

毎年MLBワールドシリーズの優勝チームに授与されるもので、重さ20ポンド(約9kg)、高さ24インチ(約61cm)というサイズである。

このトロフィーにあしらわれている合計30の旗は、メジャーリーグの各チームの旗を表しているという。

ティファニーは、この「コミッショナーズ・トロフィー」以外にも、同じMLBの「ホームランダービー・トロフィー」「ナショナルリーグ・チャンピオンシップシリーズ」、「アメリカンリーグ・チャンピオンシップシリーズ」などのトロフィーを製作している。

さらには、ドジャースの対戦相手だったニューヨーク・ヤンキースのロゴデザイン、さらには、なんと日本の読売ジャイアンツのロゴデザインも手がけた、とのことである。

ティファニーとアメリカ・プロ野球界のパートナーシップは1888年に球界初のワールドチャンピオンシップのトロフィーである「ホール・チャンピオンシップ・カップ」を製作したことがその始まりだという。

万博とティファニー

1888年といえば、ティファニーが万博でそのプレゼンスを上げていた時代といえる。

ティファニーは19世紀後半、積極的に万博に出展していた。

1953~54年ニューヨーク万博1867年パリ万博1876年フィラデルフィア万博1878年パリ万博1889年パリ万博1893年シカゴ万博1900年パリ万博と多くの万博に積極的に出展し、金賞グランプリを受賞しているのである。

ティファニーの作品展示風景(クイーンズ・ミュージアム)
Tiffany’s work exhibition
photo©️Kyushima Nobuaki

ティファニーの作品展示風景(クイーンズ・ミュージアム)
Tiffany’s work exhibition
photo©️Kyushima Nobuaki

ティファニー『ブライアント・ベース』(メトロポリタン美術館)
“Bryant Vase”
photo©️Kyushima Nobuaki

『マグノリア・ベース』(ティファニー、メトロポリタン美術館)
”The Magnolia Vase”(Tiffany)
photo©️Kyushima Nobuaki

『バイキング・パンチ・ボウル』(ティファニー、メトロポリタン美術館)
”The Viking Punch Bowl”(Tiffany)
photo©️Kyushima Nobuaki

当時、宝飾関係は、ヨーロッパの伝統あるメーカーがほとんど一手に扱っており、新興国アメリカの宝飾メーカーのプレゼンスがまだ低かった時代である。
そんな中、ティファニーは万博、そして万博での受賞を通じて自社ブランドの価値を上げていったのである。

日本でも多くの人が熱狂したMLBのワールドチャンピオンシリーズ、知らず知らずのうちに、やはり「万博関連銘柄」のティファニーがしっかり関与していたのであった。

 

 

 

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