「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」
東京・渋谷のヒカリエホールで「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」が始まった。
開催期間は2024/12/3(火)~2025/1/19(日)。
展覧会HPによると
とあり、次のような解説が載っている。
19世紀末から20世紀初頭にかけてパリで活躍した画家、アルフォンス・ミュシャ(1860–1939)。アール・ヌーヴォーの代表的存在であるミュシャの作品は、洗練、エレガンス、モダニズムの象徴となり、世界中のアーティストにインスピレーションを与え、今なお人々を魅了し続けています。 本展は、世界中のアートファンから注目を集めるグラン・パレ・イマーシブとミュシャ財団が、パリで2023年に開催したイマーシブ展覧会「Éternel Mucha」を日本向けにアレンジしたものです。偉大な芸術家ミュシャが生涯にわたり創作した傑作を、高解像度のプロジェクションを通してイマーシブならではの空間で堪能いただく新感覚の没入体験型展覧会が、いよいよ日本に初上陸します。 展覧会の目玉となるイマーシブ映像を中心に、ミュシャの人生、画業、後世への影響などを、学術的な視点と多彩な演出で紹介。この冬、新たな展覧会の楽しみ方をお届けいたします。
この、「グラン・パレ・イマーシブ」というのは、そのHPによると下記のようなものである。
2024年9月、シャルジュール・ミュージアム・スタジオが創設株主に加わり、アルフォンス・ミュシャのアール・ヌーヴォーからモナ・リザ、人工の夢、ヴェネツィアの秘密まで、展示カタログを輸出することで、この施設の国際展開を加速できるようになりました。
このコラボレーションは、文化、芸術、テクノロジーにおけるフランスの専門知識を紹介する新たな一歩であり、著名な科学的コンテンツに基づいた豊かで感情に訴える体験を世界中の人々に提供します。 Grand Palais Immersif には、Grand Palais Rmn がサポートする芸術委員会も含まれており、その重要な役割は、技術革新と科学的精度を組み合わせて、芸術と一般大衆を敬意を持って結びつけることです。
極めて万博的な展示手法
混んでいるとやっかいなので、早めに平日の午前中に行ってみた。
行ってみた12月初旬はまだ混んでおらず、現地で当日券を買い求めて、すぐに入ることができた。
最初の映像展示空間は40分間隔のスケジュールに沿って上映されているが、途中入場、途中退場も大丈夫であった。
この演出は極めて万博的であった。
まず、映像は全面、背面、側面の4面に加えてときどき床面にも映像が映し出される5面スクリーンだった。天井以外は全部の面が映像スクリーンとなる。
また、観客は床面に座り込んでみることになる。
丸くうすい一人用座布団(マット)がばらまかれている。後ろの方には2人座れるソファーのようなものやもっと椅子的なものも置かれている。
いずれも移動可能である。
この仮設感も万博の展示的であった。
これは、上記のように、
ということだが、ナレーションはフランス語のままであり、日本向けにしてはちょっと不親切であった。
なぜ日本語にしないのか、あるいは、字幕くらいなぜ出してくれないのか疑問。
とはいえ、映像自体はなかなか面白い。
ミュシャの作品をイマーシブ映像として動きのある映像作品としてつくりなおしている。
サラ・ベルナールを描いた作品などなかなか迫力がある。
5面を使って、しかも高解像度の綺麗な画像が動きを持って迫力ある映像を創り出していて、単に見ているだけでも十分に楽しめる。
最初に大ホールで映像を見た後は、いくつかのポスト・ショー的な展示やミュシャの年表などがあり、それはそれで楽しむことができた。
アルフォンス・ミュシャ
アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)はチェコ出身でフランスなどで活躍したアーティストである。(「ミュシャ」という表記はフランス語の発音によるものであり、チェコ語での発音は「ムハ」。最近はときどき「ムハ」という表記もみかけるが、ここでは「ミュシャ」で統一する)
パリに出てきて印刷所で働いていたミュシャだったが、1895年の年の瀬に急遽、女優のサラ・ベルナールのポスターをピンチヒッターで担当することになり、それが人気となって世に出ることになった。
ミュシャは当時、1867年パリ万博や1878年パリ万博を通じて流行していたジャポニスムの流れで日本の浮世絵などから影響を受け、アール・ヌーヴォーを代表する画家となった。
そしてそのミュシャから現代日本の漫画家が影響を受けている。
その中には、日本の少女漫画の創始者とされる水野英子(1939- )や、山岸凉子(1947- )などがあげられる。
芸術はお互いに影響しあい、影響を受けあって新しいものがまた創られていくのである。
さて、今回の展示でも1900年パリ万博とミュシャについていろいろと取り上げられているが、詳しくは次話の<119>に譲ることにしよう。