2025年大阪・関西万博のチェコパビリオン
<118>、<119>で書いたように、1900年パリ万博では、オーストリア館、ボスニア・ヘルツェゴビナ館、そしてグラン・パレで開催された「10年展」と複数の出展をしたアルフォンス・ミュシャ。
じつは来年開催される2025年大阪・関西万博にもミュシャが登場するらしい。
舞台はチェコ共和国パビリオン。
ミュシャの生まれた街、南モラヴィア州イヴァンチツェも現在のチェコ共和国の中にある。
我々の世代では子供の頃、チェコスロバキアという名前で学習したが、その後、1993年にチェコとスロバキアに分離した。
現在のチェコ共和国はNATOやEUの加盟国である。
首都はプラハ。
まだ、大阪・関西万博の公式HPのチェコ共和国のページにはミュシャの話は出てきていないが、BIE(博覧会国際事務局)の2024年12月8日付の「Expos This week in the news」にはその詳細が紹介されている。
その記事の出所は「PRAŽSKÝ MAGAZIN(プラハマガジン)」である。
チェコパビリオンのコンセプト
この記事中の、2025年万博・チェコ参加総責任者のオンドジェ・ソシュカ氏の発言によると、
2025年大阪・関西万博のチェコパビリオンのコンセプトは、
「人間の創造性の根源への回帰と、伝統、仕事、哲学を結びつける価値観への回帰」
ということであり、このコンセプトのインスピレーションになったのが、ミュシャの三部作
だったということだ。
この作品については、「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」のHPにも下記のような説明がある。
上記、「プラハマガジン」には次のようにある。
人生の晩年、再び戦争の脅威が高まる中、ミュシャは野心的な新しいプロジェクトに着手しました。
『理性の時代』、『叡智の時代』、『愛の時代』の三部作は、全人類の記念碑となることを意図していました。
彼が追求するテーマ、理性、叡智、愛は、ミュシャにとって人間の基本的な構成要素でした。
彼のメモには、彼が理性と愛を、叡智によってのみ結合できる2つの相反するものとして認識していたことが示されています。
最後のサイクルとなる準備として、彼は多くのスケッチブックに 3 つの作品それぞれのスナップショットを記入しました。
彼は鉛筆と水彩でそれぞれの絵画の完全なモノクロの下書きを作成しましたが、残念ながら健康状態の悪化により三連作を完成させることができませんでした。
この作品の画像イメージは、こちらのHPから見ることができる。
さらに、今回の万博出展について、オンドジェ・ソシュカ氏による詳しい説明がされる。
チェコパビリオンの来場者通路は、調和のとれた持続可能な社会への方向性を象徴しており、世界展示会のモットーである「私たちの暮らしのための未来社会の創造」と共鳴しています。
このコンセプトは、チェコの参加テーマ「人生のための才能と創造性」を指し、手作りと本物の創造的なプロセスに重点を置いて練り上げられています。
このパビリオンは、自分の努力でユニークなものを創造する人間の能力を称賛し、人類の進歩の基本的な柱としての創造性を強調し、才能と勤勉さが社会の持続可能で有意義な発展の鍵であることを思い出させます。さらに、チェコの歴史と伝統と現代的な要素を組み合わせています。
パビリオンはチェコの名産であるガラスが多用されている。
建築、そして内部のガラス工芸、ガラス彫刻なども含めて、伝統的なチェコのガラス芸術と、現代の革新的なガラス技術とのコラボも注目を集めそうだ。
また、伝統的な芸術だけでなく、チェコ共和国の現代のイノベーション、ナノテクノロジー、有望な新興企業や地域のタレントなども紹介される予定、ということだ。
チェコ共和国は独立国家となってから万博へは6度目の参加となる。
ミュシャの『三つの時代』のテーマ、そしていろいろな伝統的・現代的要素がどう「叡智」をもって融合されていくのか、今から楽しみである。