フラッシング・メドウズ・コロナ・パークの西側のエリアへ
今回は、ユニスフィアのある地域の西側の区域をご紹介しよう。
ユニスフィアのある公園区画からグランド・セントラル・パークウェイ(Grand Central Parkway)という高速道路にかかる橋を渡って西側の区域へと向かう。
ポート・オーソリティ・ヘリポート・ビルディング
すると、駐車場などが見えるが、そこを北の方に向かうと「T」の形をした独特なデザインの建物が見える。
今、建物の上部には「TERRACE ON THE PARK」という文字が確認できる。
じつはこの建物こそが、1964/65年ニューヨーク万博のためにたてられた「PORT AUTHORITY」ヘリポート・ビルディングである。
この「ポート・オーソリティ」という組織は、正式には「ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社」(Port Authority of New York & New Jersey)というもので、ニューヨークとニュージャージーの港や空港などの交通インフラを管理・運営しているものである。
我々の知るジョン・F・ケネディ国際空港や、ラガーディア空港、ニューアーク・リバティー国際空港などもこの組織の管轄下にある。
今はなき「ワールド・トレード・センター」の展示も
また、2001年9月11日に同時多発テロで崩壊してしまった「ワールド・トレード・センター」(世界貿易センター、World Trade Center。着工1966年、完成・開業1973年)もこの組織の管轄下にあった。
この万博でも、このビルディングの中で、当時構想中だった「ワールド・トレード・センター」の模型も展示されていた。
ちなみに、この「ワールド・トレード・センター」を設計したミノル・ヤマサキ(1912-1986)というシアトル生まれの日系2世の建築家は、1962年シアトル万博の「アメリカ科学パビリオン」の設計を担当した人物でもあった。(ちなみにこのパビリオンも「パシフィック・サイエンス・センター」として今もシアトルに存在し、営業している)
さて、この「ポート・オーソリティ・ヘリポート・ビルディング」は、高さが120フィート(36.6メートル)あり、屋上がヘリポートになっていた。
このビルは万博への空の玄関口という役割を果たしていた。
ヘリポート、素晴らしい景色を楽しめるレストラン「トップ・オブ・ザ・フェア(the Top of the Fair)」が設置されており、ヘリコプターによる遊覧飛行も行われていた。
そして、ヘリポートになっている部分の下にある円形の施設では、360度の全周映像装置によって「ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社」に関する映像が流されていたのである。
現在は「テラス・オン・ザ・パーク」として営業
今もまだ、この建物は残っているが、サインは「TERRACE ON THE PARK」と変更されている。
このヘリポートはバンケット施設となって生き残っている。この「TERRACE ON THE PARK」はケータリングのイベントの時だけにオープンしているとのことである。