<8>岡本太郎記念館「衝動の爪あと」展を見て。。

1970大阪万博
太陽の塔 Tower of the Sun

岡本太郎記念館「衝動の爪あと」展

岡本太郎記念館で開催されている「衝動の爪あと」展に行ってきた。
2023年3月24日(金)から7月9日まで開催されている展覧会だ。

岡本太郎記念館は、東京青山の骨董通りからちょっと入ったところにある、ちょっと小ぶりでいい感じのミュージアムだ。

岡本太郎記念館入口
The entrance of the Taro Okamoto Memorial Museum

ホームページを見ていただければ詳しいことがわかるが、ここは岡本太郎(1911〜1996)のアトリエだったところであり、1970年大阪万博の「太陽の塔」をはじめ、多くの傑作が生み出されたところでもある。
今でも、アトリエの様子がわかるし、庭もいろいろな作品が置いてあってなかなかに雰囲気を味わえる。一度訪れてみる価値あり!である。

岡本太郎はあまりにも有名であり、「太陽の塔」もまたしかりである。今回の展覧会でも2階の展示室には複数の「太陽の塔」のモデルが展示してあった。

2022年夏に訪れた「太陽の塔」

岡本太郎にしても彼の「太陽の塔」にしても、私がここで書くことがあまり残されているとは思えない。詳しい人が他にたくさんいらっしゃるだろう。

そこで、ここでは、岡本太郎や「太陽の塔」の解説などは置いておいて、昨年2022年夏に訪れた「太陽の塔」の個人的な思い出を綴ることにしたい。

そもそも、まだコロナのおさまらない中、どうして関西に行くことになったのか。

きっかけは、中学校時代のクラスメートで作られているLINEグループでの会話だった。あまりちゃんとは覚えていないが、一人の関西在住のクラスメートが、関西でミニ同窓会をしないかということで、結局数人が集まることになった。

どうして私が行こうと思ったのか。その幹事役の彼とは上海時代に、先達として結構お世話になって親しくしていたことも大きい。久々にうまい上海料理の店を案内するということだったのでそれも行く理由の一つだった。

個人的な別の目的としては、大阪の国立国際美術館で、万博関連事物であるミロの陶版壁画を見たいというのもあった。さらに開館した大阪中之島美術館で相当よさそうなモディリアーニ展をやってるようだった。
しかも、関西まで行くとすると、やはり万博記念公園を久々に訪れてみたいということもあった。

そんなこんなで、土曜日〜月曜日(有休取得)で2泊3日の予定をたてた。

土曜日の朝出発し、昼頃に新大阪着。そのまま、国立国際美術館、中之島美術館、大阪浮世絵美術館へ。詳細は別途ご紹介する。

日曜日は、京都に詳しい幹事役の友人に案内されて寺めぐり。

そして、いよいよ3日目の月曜日は一人で万博記念公園へと向かう。

月曜午前中のせいか、人はまばらである。

やはり、入場して最初に目につくのは岡本太郎作「太陽の塔」だ。

太陽の塔
Tower of the Sun

なんと、太陽の塔の内部が見学できるという。
近くのサインには、

TOWER OF THE SUN MUSEUM
太陽の塔
予約優先。当日でも空きがあれば入館できます。
太陽の塔内部公開中
WONDER EXPERIENCE

とある。
本来は予約制のようだが、人も少なく、そのまま予約なしで入場できた。料金は720円。

いよいよ太陽の塔の内部へ

まずは地下っぽいスペースから。ここはプロローグらしい。
サインには


プロローグ
1970年に大阪で行われた万国博覧会開催当時、お客様をお迎えしたのは地下展示『過去:根源の世界』でした。
地下には「いのち」「ひと」「いのり」の3つの空間があり、それをイメージした映像を3種類上映中です。
ここでは、「いのり」の空間にあった「地底の太陽」を復元して展示しており、その周囲の仮面や神像は万博開催当時に展示していたものです。
観客は地下展示を観た後に太陽の塔の内部へと進んでいきました。

とある。

岡本太郎の造作物である顔、縄文の土偶、世界各国から集められた仮面等が観客を圧倒する。

そして、それから「生命の樹」を観ながら、そして太陽の塔内部をとりまく螺旋階段を登りながら、生命の進化をみていくことになる。

この「生命の樹」については下記の説明がある。


『生命の樹』は、原生生物から人類に至るまでの、約40億年にわたる生命の進化の過程を表しています。高さは41m、直径1mの樹体に全部で33種類183体の生き物が展示されています。

目前に広がっているのは、原生類時代を生きていた生物たちです。見るものを魅了し、多くのメッセージを発信している生命の樹は太陽の塔の血流でもあると言われています。

塔の内部には初めて入ったが、この迫力はすごい。

生命の樹
Tree of Life

1970年当時からは相当補修も入っているだろうし、まったく同じ展示ではないだろうが、1970年当時、50年以上前にこんな展示が万博で展開されていたと思うと感慨深い。

展示の上の方にあった、太陽の塔の右手に入るところにはエスカレーターが設置されており、そこからお祭り広場の大屋根の空中展示に入れたらしい。

こういった巨大な塔を作る。そしてその内部にテーマ展示を展開し、しかも塔の手からお祭り広場の屋根に動線を作る。考えただけで、工事も運営も大変そうだ。普通なら多方面のリスクが大きすぎてすぐあきらめそうな企画である。こんなベラボーなことを成し遂げた岡本太郎、大屋根を設計した丹下健三、そしてこの企画を支えたすべての当時の人たちのご苦労には心から頭の下がる思いだった。

これは一見の価値あり。まだ行ったことのない方はぜひ内部見学をしてみることをお勧めする。

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